175cm。23歳。後天性人狼。
生まれ付き魔力が高く、魔法というものと縁遠いその土地では大層気味悪がられ、差別を受けて育つ。
自分が嫌われているのは魔力の所為だと察していた為、魔術師になれば魔力が高いのも当たり前になる、とマジシャンになるが、状況は変わらなかった。堪らず徐々に自らも人を避ける様になり、やがて人里離れた隠れ家の様な家で1人で暮らす様に。魔術師学校には通い続けたが、授業の時しか顔は出さなかった。
そんなある日、食材を調達する為立ち入った森の中、弱った(人)狼と遭遇。件の高い魔力、そして相手が弱っていた事も幸いし、辛くも勝利。普通の狼と変わらないと思い肉を持ち帰り、食べた。腐らせるのは勿体無いと、数日間その肉を喰らい続けた。
積み重ねられた人間への不信か、人狼の肉を食した所為か。それとも、戦闘の折、噛まれた所為か。己が人狼となった事に気付いたのは、それから数ヶ月後の事。
完全に人里に帰れなくなってしまった時…孤独となってしまった時、ふと、寂しい、と感じた。長らく感じた事のなかった、感じる事を恐れ続け、避け続けていた感情。
「誰か」が、欲しくなった。自分だけの、誰かが。