砂の吊りを見届けて、壁を殴る拳。額は床にこすり付けたせいで赤く擦れて、泣いて荒れてボロボロ。
誰にも信用されない、一方で薬以外の誰も疑えない。
背後から、よお。と声をかけられる。相手は憎き薬。
「お前の信用がないせいで死んだな、リラは」
と精神攻撃。
「明日は絶対にテメェの仲間いぶりだしたるさかい、覚悟しろや!!」叫ぶ拳。
「そいつは不可能だぜ」
薬から試験管が投げられる。拳は反射的にそれを掴みとってしまう。
だが試験管の中身はただの水。
(なんやこれ、ADS、違う、ブラフ……!?)気づいたときには、腹に薬の大きな爪が突き刺さってた。
「アンタはここで、死ぬんだからな」
情に厚かった拳が、そのせいで意見がブレ、誰にも信じられず。
情を捨てた薬は、信用を集め、生き残った。
「だから言ったんだ。人間なんざ信用できねえ、だろ?」
人間じゃなくて、人狼だけどな。
鼻で笑い、去っていく薬。
みたいな。薬はええ悪役やなー。