なぜ私はこんなことを言っているのだろう、とハイプリーストは漠然と考える。恋人というわけでもない相手に。
三日前のあの夜鏡を見てから、自分はおかしくなっている。鏡に映る己の姿に、一瞬だけ姉の姿を重ねたのだ。異端審問にかけられ死んでいった姉の姿が。以来、ずっと姉の面影がはなれない。
ナーガの佃煮を頬張る占い師の姿を見るたび、なんどこの手にかけようと思ったかわからない。何度頭で否定しても、彼女が姉の姿と重なる。チェイサーの作る暖かい料理を頬張るたび、姉を思い出す。魔術師のマントのふんわりした匂いと魔術の気配が、遠い日を思わせる。
おそらくもう疲れたのだ、とハイプリーストは小さく苦笑した。
一夜のぬくもりがただ、暖かかったのだ。