――こいつは、俺が連れて行く。
俺が死んででも、こいつは連れて行く。
最初からそう決めていた。
ベルだけは、食ってやらないと。
食わずに、同じところまで堕として、同じ地獄に引きずり込んで、連れて行ってやろうと。
ラッツにしてもそうだ。俺たちと同じところまで降りてきた、あの悲しい目をした男。
へらりと笑うあの男の、目だけがいつも死んでいた。こいつは同じイキモノだ、と初めて会ったとき思ったんだ。
だからこいつは食ってやらねぇ。
俺たちと同じところで、同じ地獄で、同じ縄を首にと。
――ベル、ラッツ、ごめんな。
狼は、小さく呟いて首に縄をかけた。